岩国市のパラチャレンジド紹介 久米 文子さん
自分の世界を表現しつづける刺しゅう作家 久米 文子 さん

障害: 知的障害を伴う自閉症スペクトラム症
略歴: 平成2年2月20日岩国市生まれ。平成20年3月岩国養護学校(現・岩国総合支援学校)卒業。平成20年4月就労継続支援B型事業所「周南あけぼの園」で刺繍を学ぶ。2019年度山口県障害者文化芸術作品等調査・発掘事業において優れた作品を創作された作家として選出される。現在は、周南市の障害者グループホームで生活し、五月あけぼの園に在籍。はんぷ工房「結」で刺繍を担当されています。(令和7年12月現在)
🟢このページは久米文子さんの父 久米慶典さんが娘さんのこれまでの刺繍との出会いや活動歴についてご紹介しています。娘さんは知的障害を持っており、自分で文章をつづることが難しいため、父親である久米慶典さんが娘さんに代わって彼女の想いや日々の様子を形にすることにしました。娘さんのこれまでの歩みや、頑張っている姿を少しでも知っていただけたら幸いとのことです。
文子は知的障がいを伴う自閉スペクトラムで、療育手帳Aを取得している重度障がい者です。小学校から高校まで岩国総合支援学校(旧岩国養護学校)に通学しました。言葉の遅れはもちろんですが、小さい時から多動があり、両親を振り回すような子どもでした。
文子の芸術的な才能ということでは、支援学校での評価は決して高いものはなかったと思います。ただ手先はわりに器用で、作業のスピードは速かったかもしれません。妻も私も文子に芸術的な才能があるとは、つゆとも思っていませんでした。
文子は縁あって、支援学校の高等部を卒業後、私の知人が施設長を務める周南市にある周南あけぼの園(就労継続支援B型事業所)に通園することとなり、同時に事業所に併設されたグループホームで暮らすことになりました。周南あけぼの園は障がい者の芸術活動にも力をいれている事業所です。ここで、文子は絵画や刺繍に挑戦するようになりました。私の知人(施設長)に言わせると「ふみちゃんは、作業にもスピードがあって、絵や刺繍ができます」とのことです。私は内心「ほんまかいな?」と疑っていました。1年ぐらい後のことでしょうか、周南あけぼの園が利用者の作品を販売するイベントを行い、文子の作品(絵画)も1万円とか5千円の値段が付けられ、展示されました。この作品を買う人がいたことに正直驚きました。
施設長や職員の熱い支援があり、文子は刺繍に取り組むようになりました。2010年の夏、周南あけぼの園は山口市の彩香亭で障がい者の作品を展示販売する大きなイベントを企画し、文子の刺繍作品も30点ほど展示されました。結果としてそのほとんどを売り切ることができたのです。この時に著名なアーチストや美術館の学芸員なども来館されたのですが、彼らが争うように文子の作品を買うのです。販売された作品は決して安いものではありません。ようやく私も文子には芸術的に才能があるのだなと思うことができるようになりました。
以後文子は事業所で、バッグに刺繍を施す作業を続けています。2020年には山口県が行った「障害者文化芸術での調査発掘事業」で、優れた作家のひとりとして選定されました。文子の刺繍を評価して支援していただいた、山口市在住のハンドバックデザイナーの安部さんは「ふみちゃんの作品は見る人を幸せにする」と言ってくれます。彼女によると、文子は人の評価など気にすることなく、自分の世界を表現するところがいいのだとのことです。競争社会で自己肯定感を育てにくい今の社会で、文子の作品は癒しをもたらしてくれるのかもしれません。
最初に記したように華道家の蔵重先生との出会いも大切でした。世界で活躍してきた蔵重先生とのコラボは、文子を新しい世界へと導きました。文子の作品に新たな魅力を付け加えていただいたのです。蔵重先生によると、文子の作品は年々変化・進歩が見られるのだそうです。それは人間性の成長がもたらすものではないかとのことでした。
昨年(令和7年)12月、次女の文子は華道家の蔵重伸先生とのコラボ作品「夢のかたち」を岩国市に寄贈して、岩国市長から感謝状をいただきました。作品は文子が刺繍したクジャクや花、コマドリなどを、縦120cm・横93cmのボードに、蔵重先生が生け花よろしく配置・貼り付けて、一つの作品にしたものです。現在 岩国市役所の一階に展示されています。
障がい者のアートについては、最近大いに注目されています。国も「障害者の文化芸術活動推進法」(平成30年施行)を定めているくらいですから。法の基本理念は「障がい者の文化芸術活動を広く促進すること」「障がい者の作品が高い評価を受けることが多いことを踏まて、支援を強化すること」「障がい者の文化芸術活動を促進し、地域社会に貢献すること」です。当たり前のことですが、障がい者の芸術活動への参加は、一人の人間として尊重されるべきです。しかし国として法律と言う形で認めたことには、大きな意義があると思います。ただ、気をつけたいのは評価される(売れる)作品だけが尊重されるべきでないということです。芸術は自己表現のよろこびですから、どんな作品であれその人らしさが表現されていれば、等しく尊重されるべきと思います。障がい者の芸術活動まで競い合いを持ち込むことはないと考えます。
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